最近、医薬分業が進み、薬剤師が病棟や調剤薬局のカウンターなどで患者さんと接する機会が増えて来ました。それは、平成9年4月の薬剤師法の改正によって、調剤された薬について情報提供が義務づけられて、患者さんに対してより有用なわかりやすい服薬指導が求められるようになってきたからであります。この結果として、薬剤師として負わなければならない責任も増えてきました。

最近の薬剤師国家試験では、各疾患の病態生理学的な理解は言うに及ばず、それを基礎とした上で疾患の治療法についても理解を求められるようになってきました。従って、薬剤師が臨床の場(病棟)において、服薬指導を行う時に薬物の説明だけに留まらず、疾患の病態についても正確に理解した上で病気の説明を加え、患者さんにそのことを理解してもらった上で、薬物治療を受けてもらいたいとの配慮でもあります。

 最後に、過去に不幸にして起きてしまった多くの薬害が再び繰り返されることがないように、また、薬剤師が疾病やその治療に用いる薬物の理解を深めて、国民の健康維持・増進に医師に対しても積極的に発言できる様に、薬剤師の育成をしていきたいと思っています。
鈴木 孝 教授
鈴木孝教授
ごあいさつ